このレビューはネタバレを含みます▼
典型的なαの財閥の跡取りの雨情。
事故にあった伯父に頼まれて引き取る事になった、身元不明のΩのヨヒラ。
ヨヒラは連れて来られた晩に、身体検査と称して身体を開かせられて雨情に抱かれて、雨情に気に入られる。
雨情付きの使用人となったヨヒラは、段々と雨情に牽かれていったけど、雨情にとってはΩはαの子を産む道具と言われていたので健気に頑張っていたのにかわいそうでした。
雨情が跡取りとなる事が正式に決まった時、他の相手と結婚するけど、使用人としてヨヒラはそばに置くと伝えられて、ヨヒラのその時の寂しそうでつらそうな顔が印象的でした。
儚げで今にも消えそうな感じでしたね。
結局、ヨヒラは抑制の薬を飲まずに雨情に抱いてもらい、その翌朝に最初からいなかったように姿を消してしまいました。
雨情はその時に本当の自分の気持ちに気がついたんですね。
ヨヒラに牽かれていたし、大切な存在になっていた。
好きと分かってからの雨情は姿を消したヨヒラを必死になって探していたので、その時点で雨情に対しての印象は変わってました。
実は雨情も愛情には飢えていたのかなと・・・。
やっと探しあてたヨヒラの腕には小さな赤ちゃんの姿があって、大切な可愛い子の存在を知り、ヨヒラに対して雨情は素直になっていたし、ヨヒラの願望を叶えてあげたかった。
その後の雨情が、子煩悩で家族を大事にするのを垣間見て、ヨヒラが幸せになって本当によかったと思いました。
ヨヒラと再会できた場面のページ以降は、読んでて涙が止まらなかったです。
雨情の懺悔の言葉と思い。そして、ヨヒラが居なくなった時に感じた大切な人が居なくなった時の怖さが今だに忘れられなかったし、これからも居なくなってほしくないという正直な気持ちを、そっと子どもに洩らしてた寂しそうな後ろ姿に、雨情にも幸せになって欲しいなと感じました。
オメガバースが基盤のお話ではありましたが、それだけじゃなくて本当に大切な人と出会い家族になれて、それを叶えてくれる大事な人がそばにいてくれるのが幸せなんだとしみじみ痛感できた作品でした。
まだ、読んでない方にはぜひとも読んで頂きたい作品です。
私自身はこの作品に出会えてよかったです。続きがあればぜひお願いします。