このレビューはネタバレを含みます▼
こちらもフォローしている方のレビューで知った作品です。青空文庫、ありがたすぎます。さて、夢野先生ですが、フォローさんの仰る通り、読み手の感想が分かれる作者さんで、私は途中で挫折した口です。ですが、この作品はとても読みやすかったです。ただ、読みやすいけれど、端々にヒリッとするものを感じます。さらけ出される「私」の内面に、自分の内側も見透かされているような焦りを感じました。唯物弁償ですべてを見ていた「私」が初めて知る精神世界。知る術が、忠義な郵便配達員の「死」であったことは、正直、どう折り合いを付けたらいいのか分からないのですが(書かれている描写にも少し戸惑いました)、その精神世界を誰かの「死」ではなく、「小説」(あるいは「本」)で知ることができるのは、ありがたいことであり、幸せなことだなと思いました。(短編、無料)