ジェラシー[コミックス版]
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ジェラシー[コミックス版]

スカーレット・ベリ子

執着のない愛の世界とは。

ネタバレ
2021年8月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 全員が明虎・卯一に執着している中、この2人だけが、真っ直ぐにお互いのみに執着しており、それ以外の人は、立場や子供や親や自身の努力などのサンクコストに対しても、同じ様に執着している様に感じました。大切にしたいものが分かれるから苦しい、そんな周囲の自称大人が、常識的な愛のあり方という理論で、主に立場の曖昧な卯一を悪者扱いし苦しみを吐き出す。卯一も、家族という関係性に執着し始めてしまったせいで苦しみを全員分背負ってしまった様で、読んでいて切なくなります。人には、それぞれの思い描く幸せの形があり、譲れない分だけ苦しみが増す、そのグラデーションを強く感じられるのは、妻で母親という絶対的な女性的立場を持つ麻美の存在が大きいです。血縁の有無、性別、大人と子供、生と死が優しく混ざりあう、家族愛の世界とは何かを想像させてくれる、BL作品ならではの余韻の残る作品でした。
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