「四代目大和辰之」を先に読んで、櫓木卯一という男のことが気になり、割引き中に5巻一気購入。
2人の運命的な出会いと別れに痺れました。
話の内容が凄すぎて再読するのに時間を要しました。
2回3回と読み、やっと2人の関係性を飲みこみ消化す
ることができたように思います。
明虎はまさに子供のままに自由奔放かつカリスマがあり、懐に入れた人は命をはってでも守る人。
卯一も同じく子供のままに自由奔放だけども、とても危うくて素直すぎるが故に壊してしまう人。
2人とも似たもの同士だけども、明虎は優しすぎるほどに強くて己を殺して手放したものがあり、その手放したものと同じくらいに大切なものである麻巳と息子を手に入れていた。麻巳は明虎にとって「生」そのもので何者にも変え難い存在だからとても大切にしていた。
そこに現れたのが卯一であり、明虎が押し殺して生きてきた子供の部分をいとも簡単に引っ張り出していく存在で、明虎にとって卯一は「死」。
きっと死んででも守りたいのが麻巳なのだとしたら、死ぬとき一緒にいたいのは卯一なんじゃないだろうかと思いました。
明虎は誰がみても魅力的な男性だと思います。
愛する嫁と子供がいても必死になって卯一を守る姿は、普通最低な旦那なのですが、明虎にはその普通という常識が当てはまりませんし、ヤクザに適した性分でもあると思いました。
そして麻巳はどこまでもいい女でした。無様に嫉妬しないようにしていても最後には冷たい言葉を卯一に投げかけてしまう。それでもやっぱり一本筋を通したことをしていましたし、誰よりも強い人でした。
そして卯一。普通の家庭で育ってるみたいだけど、思考と行動がぶっ飛んでいて、危なっかしいけどたまらなく魅力的な人です。
おじさんになった卯一は常識をきちんと兼ね備えていてるけど、やはりどこか常識人とはほど遠く、こんな人物を描けるベリ子先生は凄すぎます。
脇役もかなり癖があり、なくてはならない重要な役割をしており、マンガとしての質がとても高い作品でした。
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