いつくしむ、さを鹿の声【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
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いつくしむ、さを鹿の声【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

春之

思いやり溢れる優しいお話です。

ネタバレ
2021年8月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家様です。美しい響きのタイトルに惹かれ、その意味を知りたくて購入しました。お初の作家様は緊張の一瞬で、フォロー様のお名前があると嬉しくなるものですね。

剣道で大事な友人にケガをさせてしまった事に、ずっと罪悪感を感じる倉田。(ケガする前に足に違和感あったはずなのですが…)
ケガをさせた方も、ケガした方もどちらも気を遣って、拗らせてしまった友情。相手を大事に思うからこその気遣いが、いつの間にか心のすれ違いとなる二人の心情が、とても丁寧に描かれています。仲が良かっただけに、逆に他人行儀な気遣いは互いに寂しく思うだろうし、そんな状態に悔しい想いをする倉田の気持ちもひしひしと伝わって来ます。
フユとの出会いが、倉田にとって剣道を始める大きなきっかけとなったから、フユが感じる以上に悔しかったんだと思います。倉田にとって、忘れられない大事な事だったんですよね。だから拗れた二人がもどかしい…
周りの後輩や友人が心配するくらい、拗らせてしまった8年間。二人の背中を押すように、そっとサポートする彼等もまた優しくて、後藤も山下さんも、吉野もみーんないい奴ばかりです。
お互いに向き合って、取り戻した8年間。心から笑い合える二人に戻れてほんと良かった。サポート隊、グッジョブです!
友情とは別のところで、ふと意識し合ってワタワタするのも可愛くて、自然な流れで友情が恋に変わるのも素敵です。相手を慈しむ事が、優しく描かれたお話です。
恋に変わった二人を知った後藤と山下さんの反応がナイスでした(笑)
イチャイチャもエチも可愛い二人でした。
タイトルの意味、あぁ、なるほどでした。
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