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水谷フーカ

全編鉛筆描き

2021年8月19日
紹介文より、作者様は「間」の使い方に長けており、それを最大限生かすために鉛筆描きを依頼したとのこと。確かに、これは鉛筆描きだからこその作品だと思いました。「間」が凄い。計算では真似できない間の取り方だと思う。これは凄い。おかしくて優しくて悲しくて楽しくて少し寂しい。でもやっぱり温かい。ほんのりほんのり差し迫る仄かな崩落。それは遠くのことで、身近なことかもしれない。終始温かくて綺麗で優しいけれど、それでもそれは確かにあることで、きっといつか目の当たりにする。元々は同人誌に描いたお話とのことですが、だからこそ良かった。自分の中にあるものを排出してお金に換算できる方がもちろんプロなんだと思いますが、採算度外視で排出したもの(しかも出版者の方の目に止まるレベル) にはやっぱりある種独特の熱量があるように思います。自分はそれがすごく好きなので、すごく良かった。
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