赤と黒
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赤と黒

桂小町

父親達の二の舞にならなくて良かった…

ネタバレ
2021年8月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ ROUGEシリーズスピンオフ、大和と由紀夫が"ガキだった頃の物語"です。
シリーズ全部通して読むとわかる、この作品の奥深さ、沁みますねえ〜沁みっ沁みです。登場人物全員の心情を痛切に感じてしまって、一体どこに自分の感情を置いて読めば良いんだと混乱しました。
『明日世界が終わるなら』を読んだ後またさらっとこの作品を読み返して一番切実に感じたのは、大和と由紀夫が、自分らの親父達と同じ道を選ばないで本当に良かったという事です。由紀夫は「お前より大事なものがない」って大和に言えたけど、父ちゃん達はそれが出来なかったんだよなあ…。由紀夫の父ちゃんも、一番大事なもんだけ守れりゃそれでいいってわかってるのに。ああ切ない。大和と由紀夫は最初に出逢った時からきっともうお互い恋に落ちていて、お互い素直じゃないが故に想いを伝え合うまで時間が掛かったけど、諦めないで良かった。2人が心から愛する人に本当に欲しいものを委ね合ってねだり合える関係になって良かったです。親父達の叶わなかった想いを背負って、受け継いで、大和と由紀夫はこれから頂点目指すんだろうなあ。2人の「青春ごっこ」いざ開幕。
藍くんのファンになってしまったので、彼との絡みもたくさんあって嬉しかったです。大和が自分自身の屈折した胸中を藍の境地に投影して、もがいている姿もなかなか心苦しかったです。
酒匂さんの境遇もいたたまれないですねえ…。墓参りのエピソード『紫苑と桜』、薄紫の十五夜草の花言葉には涙しました…。
2巻末収録の大和と由紀夫の甘〜い小話はたまらないですねえ。余裕ぶった大和の顔が乱れて余裕無くなっていく姿、最高です。
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