花恋つらね
」のレビュー

花恋つらね

夏目イサク

菊右衛門の回想シーンで涙が・・・

ネタバレ
2021年9月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 待っていた最新7巻早速購入しました。
惣五と源介が従兄と兄に交際を知られ、反対されていたのが凄く気になって気になって仕方ない位、続きが早くみたいと思っていたので、最初の場面で二人が悩まされていた中々会えないのを一先ず源介の友人宅を間借りしてそこで会うっていうのがなるほどねと思いました。
友人達も協力してくれるのがありがたいですね。
そして凄く気になっていた、菊右衛門と寿一郞の若い頃の話が読めてすっきりしました。
歌舞伎の世界は襲名やら跡取りやらが一番の悩み事ではあるので、無意識に牽かれあっていて相手の手をとってもそれが現実的にだめな事だったりして、想いを添い遂げられないですよね。
寿一郞は菊右衛門が好きで手をとって欲しかったんだろうけど、菊右衛門は手をとれなかった。
もしその時に手をとっていたら・・・なんて、年をとってもずっとその想いに捕らわれていて、無意識に後悔しているのが凄く伝わってきて読んでいて切なくなり、涙がでました。
歌舞伎の世界は厳しいですよね。
異端な事が許してもらえないし、自分自身の事しか考えられないと周りに迷惑がかかってしまうのが精神的に負担になってしまう。
添い遂げられなかった想いが今自分達の孫世代になっても牽かれあっていたのを見て、菊右衛門は複雑な心境で見ているんでしょう。
だめだとわかっていても、二人に自分達を重ねてしまいますし、二人が不幸になってほしくないということもあるから、何といったらいいのかも・・・。
心情を描かれる場面が凄く上手くて、感情移入すらしてしまって読める作品で、本当にこんなにいい作品中々会えないと思うので出会って読めて本当によかったと思います。
続き楽しみに待っています。
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