コインロッカーと穴
」のレビュー

コインロッカーと穴

夏糖

何度も読み返してる。

ネタバレ
2021年9月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォローしている方々のレビューで気になっていた作者さん。33ページの短編作品、とても好きでした。(9/16までセール)
駅の古いコインロッカーの都市伝説。私はこういうのは、怖くて試せないタイプです。「怖い」と感じているということは、どこかで信じてるんですよね。あとは、矛盾しているようですが、試すくらいの段階になっていたら、試さず終わらせようとしてしまうかもしれない…と思ってしまいます。(思うだけでも不快に思ってしまう方がいたら申し訳ないです)
そのコインロッカーで出会った高校生とサラリーマン。きっとサラリーマンは信じてなかったのだと思う。だから1日でやめてしまったし、止めずに付き合うことができたんじゃないかな…と。そんな彼が「ハマってる」と感じたのは、目の前の都市伝説そのものではなく、明と共有しているその状況なのかな…と。だから、見届ける前の最終日……良い話の閉じ方だったなぁ。
最初に、私だったら試さずに終わらせるなんて書いてしまいましたが、そういう意味では、明には試す気力があるんだなということが書きたくて。だから、サラリーマンの彼が最後にかける言葉は重く感じないんです。一貫して、彼の優しさと誠実さを感じる中で、人との距離が縮まるのは、一緒にいた時間の長さではなく、濃さだなぁとしみじみ思いました。それにしても、言葉遣いが変わってる明がツボすぎて…本当に良かったです。
ただ一つ謎が!本編中にサラリーマンの彼の名前を私は見つけられないのですが、目についた作品紹介に「裕介」とあるんですよ!えー??別作品のスピンオフとかなの??
いいねしたユーザ10人
レビューをシェアしよう!