薫りの結びつき





2021年9月6日
カバー下の迫力そのままの作品でした。背徳的で耽美なエロス。かっこよくて排他的で哀しかったです。記憶や感情との結びつきが強い嗅覚を多分に表現していて、作中で同じ薫りを共有して、情事から匂い立つ薫りを忘れられない彼等。目隠しで目を背けたい現実や押し殺した気持ちが表現されていて、息が詰まるほど官能的でした。優しそうな茉莉子の描き方も秀逸。明日美子先生が描くいちじく、えろい、とか思っていたけど、調べるといちじくも暗示なのかな、再登場する眼帯男やレストランでの食事、ワインの貯蔵庫とか。読了感がすごくてなかなかまだ読み返す気になれないけど、読み返さないとわからないことがたくさんありそうな気がします。最後の手紙はしんどかったです。

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