赤髪の女商人
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赤髪の女商人

のゆ

ちゃんと生きてる世界

2021年9月10日
この作品は主人公からモブにいたるまで、ちゃんとその世界で生きてるんだなと感じさせる度量の深い作品です。
今時のいわゆる異世界ものや中世風ものにはよく、主人公を活躍させるためだけの世界や他のキャラが存在するように感じるものが結構あります。一部のなろうとか。
でもこの作品はこの世界のそのうちのほんの一人をみせてくれる、そんな作品です。
だから主人公にばっかり都合のいいこともそう起きないし、ただ主人公を痛め付けるだけが目的に感じる出来事もありません。みんながみんな主人公好きというわけでも嫌いというわけでもありません。
名前もあかされてない、深堀もされてないような衛兵や代官にもそれぞれの生活や人生を想像させられる。
あーこの代官は職場にいたら仕事大好きすぎて部下からの評価両極端になるタイプ!みたいな。

そんなどうにもならないことの多い世界で、ちょっとつっけんどんでいじっぱりなリアノンさんが逃げ場をなくしたりしつながらも自分の中の誠実さと向き合って起こした行動で、周りの人間が彼らなりの動きをすることで物語が色をつけていきます。
この作品の世界の懐の深さは資料や考察を重ねに重ねて作られたものだからこそだと思います。
続きがずっと楽しみな作品です。
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