青き炎 DX版
」のレビュー

青き炎 DX版

柳沢きみお

ある意味で人生の啓発の書

ネタバレ
2021年9月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「こういう生き方をしたい」と思わせてくれる、まさに「人生の啓発書」! 非の打ち所の無い主人公の龍一は、周りの「平凡な人間」には全く関心が無いが、冷徹な情熱を持つ。そこから、タイトルの『青き炎』と結びつく。彼は、高校卒業後、一流大学に現役合格して上京し、バブル時代の東京で、数々の悪事に手を染め、のし上がっていく!しかし、「全て」を手に入れたはずの龍一の前に彼の生き方をたしなめる、聖人のような男女が現れ、そこから、彼の人生の歯車は少しずつズレ始めていく…。
ちょうど、作者の描く作品の傾向が変わってきた頃の最初の作品と記憶している。この後、柳沢先生は、男の理想の体現や、痛快な復讐劇のような作品を多く手掛け、ヒット作を連発していく。
このような「成功譚」は昔からあるが、この作品はとにかく面白く、どんどん引き込まれていく! 結末で「悪のヒーロー」が自滅していく終わり方に、最初は釈然としなかったが、散々悪事を働いた主人公が最後に滅んでいく様は、構造分析学的には正しい。このことを学んでから、読み直してみると、きちんとした構成の元にこの作品が描かれていたことが分かる(先生の真の意図は不明ですが)。同作者の後の諸作品のストーリーが「息切れ」しているのとは対照的である。
連載当時、「人生の啓発書」として読んでいた人が多く、後にそのような人たちがどのような人生を歩んできたかは不明です(笑)。😉
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