このレビューはネタバレを含みます▼
ずるい大人とひたむきな子供の逃避行。行き先もわからずただ続いてく、陰もワケもある男といい所のお坊ちゃんの電車旅。もう設定からして萌えました。タイトルも表紙の儚い雰囲気も、切ない終わりの予感しかしないんですよね。でも、最後は救いのある結末で本当によかったです。
なんで?っていう廃アパートでの出会いから始まって、男――ヒロセと一緒に行くと決めた主人公・はじめの孤独と虚無と、ようやく見つけた「欲しいもの」への渇望がすごく切なくて。
はじめくんの想いにもヒロセの葛藤にもすごくすごく共感できて、二人を応援しながらあっという間に読み終えて、今はただ「ああ、よかった……」という思いでいっぱいです。覚悟はあっても「罪」などという概念で二人の心が壊されたりしなくて本当によかった。多くはないけどラブシーンもしっかりエッチでかわいい。
未成年者を連れ出して(いくら若い子が自分の意思だと主張しててもね……)、そういうこともして。「お話」は現実とは違うのだと解っていても、読み進めていくうちにやはり後暗い気持ちにはなります。それだけ作中の二人の心が「本物」なのだろうと私には思えました。
大満足なんて言葉では言い表せないくらい、大大大好きな作品になりました。この作品を送り出してくださった全ての方に感謝したい気持ちです。