ばら色の頬のころ
」のレビュー

ばら色の頬のころ

中村明日美子

モーガンにも幸あれ。。

ネタバレ
2021年9月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「 昔話をしよう 」から始まるプロローグに一体何が起きたのだろうと想像力を掻き立てられる。
ポールとモーガンの出逢いから、Jに出逢う前までのお話。
真面目で可愛らしさを合わせ持っていたポールと、
不真面目だけど情に厚く不器用なモーガンの思春期時代が、純粋であり、もがく姿が切ない。
初めて下級生の同性愛を間近で見てしまった事により、徐々に自分の抱き始めていた想いを自覚してしまった時の衝撃を、呪いと表現されているのも苦しく、愛されないならいっそのこと憎まれてでも、ポールの瞳に自分の姿を映し、繋がっていたかったのかと思うと更に切なくなる。
「 くりくり頭のオカマの天使が降ってきた 」
この天使という言葉が、Jとの出逢いによって、2人を目に見えないしがらみや呪いから解放し、新たな絆を繋げていくキューピッド的な表現のようで救われる気持ちになりつつも、複雑な心境が拭えません。
どうかこの恋心を抱きながらも、決して求める事のないモーガンにも幸せをと願ってしまう。( なんかもう泣けてしょうがないの )
書き下ろしでの、頬を赤らめながらのポールとの抱擁シーン( もうこれが精一杯だったんですよ )や、街中へ走り去るモーガンの後ろ姿に、やるせない気持ちと愛おしさで涙が込み上げてくる。
お値段が少々お高めで今まで見送っていたのですが、レビューを拝見し、背中を押して頂けました。大切にしたいと思える御本との出逢いに感謝です。
ありがとうございました。
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