魅了が解けた世界では
」のレビュー

魅了が解けた世界では

暮田呉子/春野薫久

どんよりシリアス

ネタバレ
2021年9月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 冤罪だったにも関わらず断罪されてしまった公爵令嬢。断罪した王太子とその周りの補佐官たちが5年経った後に冤罪だったと気付きそれぞれ深い後悔と罪の意識に苛まれる事になる。いやあ、その自責の念に駆られる場面は涙が出ますね。深く深く過去を掘り起こし苦痛に歪む様は胸が苦しくなります。終始どんよりとした場面が続き、過去の過ちに気付いてヒロインに謝りに来て、そのまま断罪した人たちはまた変わらず同じ生活をするのかと思ったけどさすがにそこは甘くない。現実的すぎる因果応報というか、王太子が幽閉されちゃって……なんとも救いようがないですね。王太子がかわいそうになったし、逆に彼の補佐官はなんで罪に問われず宰相になってるのかモヤモヤが残る作品でした。実はヒロインが転生者で最後の最後にそのネタばらしがあって後半はそれで物語の雰囲気が少し明るくなった感じ。断罪した国は悲惨で目も当てられないけど、ヒロインが幸せなら……。しかし現実は甘くないという痛みを伴ったリアリティのある作品の作りでした。このような設定で後に後悔した王太子自身が過去に戻るっていうその手の話も誰かが書いてくれるなら読みたい。
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