怪獣になったゲイ
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怪獣になったゲイ

ミナモトカズキ

ほんとうの怪獣は

2021年9月18日
ある心の動きによって怪獣になってしまった彼彼女達。巨大な頭部、大きく避けた口、尖った歯。危険さを窺わせる異質な見た目。それが彼彼女等の本質なのだろうか。本当に危険なのは誰なのだろうか。
ミナモト先生の作品は明るくギャグよりに見せていても、根っこにズッシリとした物があって読むと考えさせられる事が多かったけど、特に今回は大変重いブローをいただきました。
話の深さも、登場人物の心の重さも、溌剌とした笑顔の胸糞感も、無意識と無関心の鋭利さも、全てにおいて強め。
先生の絵柄は柔らかくもスパッとしていて淡々と進むストーリーにピタッハマるんだけど、怪獣の表現には湿度があって時にベタっと心に張り付いてくる。そのコントラストが胸にきた。
セクシャルマイノリティやジェンダーについての問題だけではなく、無関心と無意識の暴力について今一度自分を振り返りたくなる作品でした。
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