好きで、好きで
」のレビュー

好きで、好きで

安西リカ/木下けい子

好きですよう〜

ネタバレ
2021年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 木下先生のイラストでずっと気になっていた作品、クーポンで読めて嬉しい!
理想の2人の理想の切なさたっぷり愛がいっぱいな全2巻でした。
高校の同級生だった志方と穂木。1巻目が付き合って10年目ほどの頃で始まり、2巻目は同居して5年、更に2年後の30代半ばの2人が描かれます。
穂木の回想で2人の出会いから告白、初めての時も描かれますので、もうずっと長く2人を見守っている気分に。
コワモテで仕事人間の志方と、華やかで人を惹きつけるのに一途な穂木。
穂木はゲイで、志方はノンケだったことで穂木の中にはずっといつか志方と別れなければならないのではという葛藤があります。
2人が出会って20年近く経ってもタイトルの「好きで、好きで」がずっと貫かれていて、その間に起こる様々な出来事も全て愛しい。
1巻目は穂木が志方に恋焦がれてもがく様子が切なくて泣けるほど。でも2巻になると志方の気持ちもしっかり描かれるので幸福度が高くて幸せ〜。
穂木の甥っ子柊君の可愛いことといったら、木下先生のイラストがたまりませんよ、もう。
志方の同僚三沢や穂木の家族、誰も彼もが温かくてblを読む幸せの全てが詰まっている感じです。
以下すっごい古い話で恐縮なのですが、この小説を読んでいて思い出していたのが平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」。
あちらは身分差、こちらはマイノリティという違いはあれど、表立って一緒になれない者の切なさみたいなものは男女問わず同じだなと。でもbl読んでる方としてはこういうのってちょっとだけ萎えるんですよね。結局男女が置き換わっているだけで何も変わらないんじゃないかと。
でも2巻の途中で穂木がちょっとずつ変わってきて、更に志方目線のエピソードが入ってようやく前向きな気持ちで読み終えることができました。
小説も良いなと思えた作品をありがとうございました。
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