あしながおじさん達の行方
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あしながおじさん達の行方

今市子

あしながおじさん達の幸せ

ネタバレ
2021年9月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ ふ、複雑過ぎて一言では書けそうもない〜。今市子ワールド全開のドラマでした!
2巻で完結ですが、内容の濃さ、登場人物の多さ複雑さで軽く10巻分くらいはジェットコースターでした。
今市子先生の作品は他でもそうなんですが、多色遣いなんですよね。人間誰しもひと塗りの単色ではできていません。
児童養護施設「ひよこ園」を中学卒業と同時に出て、自分に毎月手紙を送ってくれた「あしながおじさん」を探してとあるマンションにやってきた主人公春日。
春日はあしながおじさんの正体を知りたかっただけなのですが、春日が動くたびに関係する人物が増え、話は大きく動き出します。
blというよりこれは人間ドラマ。
春日が訪ねたマンションの管理人で春日と一緒に暮らすことになった夏海。元義理の父親だった夏海を愛する春日と同じ歳のヤスヒロ。
マンション所有者の養子で男の恋人がいる山本と、その恋人の薫。
山本の戸籍上の妻や、夏海の元妻でヤスヒロの母たまき。
あしながおじさんたちだけで5人もいるし、それぞれの家族が絡まり合ってもうBLどころの話じゃありません。
春日の本当の父と母は誰なのか?
それがわかる時、彼らの複雑な愛、満たされなかった思い、孤独が浮かび上がってくるのです。
結局1番愛情深く何処か病んでいたのは誰だったのか?
大団円を迎えながらも切なさに胸が苦しくなりました。
確かに主要なメンツは男が好きな男達ですが、それはとりあえず置いておいて、愛の物語として読みたい作品です。
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