2丁目の小さな魚
」のレビュー

2丁目の小さな魚

河井英槻

もっと多くの人に読んでもらいたいな〜

ネタバレ
2021年9月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 全力で「尊い!」という言葉を送ります!
まずは表題作。万に一でも可能性があればと先輩の恋愛対象である女性に寄せてニューハーフになるところ。女装しても大女の自分は気持ちが悪いと自分を卑下しているところ。ずっと欲しかった先輩が元カノの髪に挿した花を貰えて気持ちが溢れてしまうところ。それを心の底から謙虚に思いを伝えるところ。初めての時に先輩が男の身体に我に返るのではないかと本気で怖がっているところ。
もう書ききれないけど全て全てが尊い。
それに応える先輩の「おまえにもするよ?〜おまえがもうやだ、別れたいって泣き出しても」のセリフが、ああもう、どうしましょ?こんなん言われたら切なすぎて辛い!シチュが違えば元カノを引き合いに出して悲しくなるセリフが、ずっと先輩の彼女を死ぬほど羨ましくてならなかったからここで生きてくる。このセリフだけじゃなく河井先生は本当にセリフの使い方が神でいらっしゃる!こりゃもう刺さりますよ!
先輩が受けちゃんを好きになった経緯も読んでいると自然に伝わります。だんだんと気持ちが寄り添って行く様が読み手からはダダ漏れなのに肝心の受けちゃんには伝わっていないもどかしさよ!その辺も読みどころです。
インド人彼氏の同時収録作も受けくんが一途でベタ惚れで可愛い。3秒で恋に落ちるとこと、向こうも一瞬で落ちたのが、ラーメン屋なのにお花が飛んでいるみたい。けっこうお手軽な展開のはずなのに、いいわ〜ってなる。なってしまう巧さがある。
ラスト翻訳してもらった言葉もいいし、真っ赤になって愛を確認できた受けくんもいい。あれ?「いい」しか言ってなくない?
もう一つの同時収録作「サニーサイド」は中学生(?)と母親のセフ レ。受けちゃんが一方的に絡んで慕っていたと思いきや、実は攻めくんがマジ惚れしてて泣きながら身を引いたという。たった25ページだが大人視点で読み返すと、寂寥とか哀情に似た思いが迫り上がってきます。
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