彼のバラ色の人生
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彼のバラ色の人生

秀良子

STAY GOLDの原点の様な作品

2021年9月22日
「リンゴに蜂蜜」での2人の出逢い、付き合い始めから3週間。
季節は夏から秋に移り変わります。
同様に夏樹の心にも変化が。

ノンケ コマノの宇宙人の様な人柄に惹かれつつも、ゲイである夏樹は過去の経験から幸せが怖い。
でも手離せない。どうしたら良いのか分からない。

秀良子先生の心理描写が本当に素晴らしくて、表情、モノローグ、自然描写での空や月、雲、など全て頭で映像化出来そうな程に丁寧でゆっくり、じっくり進んでとても心地良かった。
ずっと2人の世界で一緒に暮らして行けたら良いのに。
やはりこの関係は自然では無いのだと、コマノの母親に気付かされる。

頭の中を表した部屋の表現が上手いなぁ。
空間で魅せる技量。
夏樹の「カレーが不味い」で、この本の全てを集約したようなコマノの一言が彼の包容力、決断力を表して読後感が爽やかでした。
人を好きになるのは世界が変わるほど幸せなんだね。2人で居れば何も怖いことは無いんだよ。
STAYGOLDにも共通する、恋する甘酸っぱい刹那さはこの頃から顕在してます。
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