願い叶えたまえ
」のレビュー

願い叶えたまえ

西田東

893のメンツの取っ払い方よ

ネタバレ
2021年9月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLと任侠モノは相性がよろしい。親父やら兄貴やら兄弟分やら男がワンサカといるから?その関係に命をか賭けるから?
けど最大の萌えは「面子」だと思うんだよね。
男同士だとどっちかが掘られるわけで。ソレが周りにバレるなんてとんでもないことで。それ以上に自分が我慢ならないワケで。某囀る某ヤシロさんみたいのは特殊なんです。(矢代さん超大好きです)
この作品の受けである深見は絵に描いたような硬派のヤ○ザ。攻めの祐介はカタギのケーキ屋。
性欲旺盛な深見が薬を盛られて当て馬ジジイヤクザに掘られたあと、後ろでしかイケなくなった時、そりゃ凄まじい葛藤だったと思う。その己れとの精神的戦いが、実に滾る。もうどーしようもなくなって超絶殺したいくらい憎いジジイヤクザに抱かれに行くとこなんか、堪らなかった。CPの初えっちの時のマクラの使い方とかも。
全体的にシリアスなトーンで話が進む。CP2人の間にはずっとベートーヴェンの月光第一楽章がバックで流れている感覚。短調の静かで寂しい調べは、2人でいても深見が心を開かず孤独なのだと言っている。
それが終盤は第二楽章に変わる。テンポがアップして長調の調べは明るい未来を予測させる。まんま裕介のようである。どんなに裕介が願っても頑なな深見とは幸せになる道など無いと思っていたが、成る程そうきたか!ちょっと飛び道具っぽい展開だったけどドラマがあってコレは有り。
後は、工藤の願いが叶いますように!(工藤マジでいいポジだったわ)話の中では工藤が願ってタイトルになったようだけど、祐介の願いでもある。その願いが泣ける。
このまま第二楽章であり続け、第三楽章のような嵐が来ませんように!
西田ヒガシ名義の「やさしいあなた…」とはまた違った任侠モノだったが、どちらも好き。
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