兄ちゃんの話
」のレビュー

兄ちゃんの話

池玲文

名作!

ネタバレ
2021年9月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 300円って、短編かぁ〜…と、敬遠していたのですが、再び気になったので買ってみました。泣けました。悲しいとか、ドラマティックとか、そういう涙ではなくて、人間模様が切々と描かれているんです。それでがジーンと響いて涙がでました。
イチャイチャドキドキを楽しむBL作品ではなくて、人間ドラマとして、広く読んでもらいたい作品だと感じました。弟の戸惑い葛藤が後の理解へ成長し、家族崩壊を回避させたのが素敵。親の戸惑いとやりがちな失言をばっさり切り捨てた弟に拍手です。でもそれ以上に兄の家族への献身は素晴らしく、祖母の葬儀後に、祖母が死んで安堵した自分に罪悪感を抱いて苦しんでいる描写が秀逸でした。真面目で優しいからこその葛藤で、それをしっかり受け止めるパートナー君も良かったです。
エロは最後にちょっとあるくらいだし、本編ではキスまでだし、極端な設定のBLではないので、異性愛者と同性愛者がともに尊重しあって家族になっていくことや、介護問題を含めた家族のありかたを考えるきっかけになりそうな印象でした。
驚いたのは、お兄ちゃんが受だったこと(笑)。
見た目のほわほわ感からてっきり、なな君が受だと思っていて、びっくりしましたが、エロメインではないので抵抗はありませんでした。むしろ、そこ詳しく!と思ったけど…。ほわほわに見せかけてS気ありなら萌えるなと、邪妄想入りました。
300円の作品とは思えない満足度でした!
いいねしたユーザ7人
レビューをシェアしよう!