性の劇薬~淫らに開発される身体~
」のレビュー

性の劇薬~淫らに開発される身体~

水田ゆき/オイナリ

物語の最後まで見届けてほしい

ネタバレ
2021年10月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●前半かなり描写がキツいので脱落しそうでしたが、今回は良いレビューを信じて読み進めました。(普段は悪いレビューを参考にすることの方が多い。)多くの方がこの言葉を使われていますが、「救済」の物語だと私も感じました。
●畳み掛けるような不幸のどん底で命を断とうとした誠を拾った余田。何も語らず、無表情のまま、道具を使って誠を拘束監 禁し、性的にいじめ抜く。これがなかなか酷くて(+個人的には前半絵柄が少し苦手で…)見てられないほど。でもこれが誠の「欲」を引き起こし、引いては余田への興味、「生きる」へと繋がっていく。
●前半完全に謎人物だった余田に、後半焦点が当たっていきます。読者の視点は誠の余田への関心と重なる形で、「なぜそんなに何にも心が動かないのか」「なぜ誠にそんなことしたのか」「あなたはどういう人なのか?」「誠への感情は何なのか?」と、ひとつずつほどけてゆく感じです。
●余田は余田で闇を抱えていて「生きる」ことを諦めていますが、誠が「生きる」ことに貪欲になり「欲」をぶつけてくるのを受けて、自分の「欲」や「生」を取り戻していく。誠を救ったのは余田で、余田を救ったのは誠です。
●全く何も通い合ってないように見えた前半の二人からは考えられないほど、ラストへ向かうにつれ人間同士の触れ合いができるようになっていきます。(ちなみに個人的には絵柄も良くなっていってると思います。)是非ぜひ最後まで!(単行本版も出ているようです。)
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