このレビューはネタバレを含みます▼
個人的な好みとは思いますが、ツッコミどころが多くて感情移入できませんでした。
まず、友達を巻き込むようは案件じゃないし、画家としての正念場だというならそれを伝えて回避すれば良い話。遺産をもらう気がないならそれを書面にして義兄と利害一致で対応するとか。父親も、当初から認知しているなら、保険の受け取り人にしておくとか遺言書を作るとかマンション買ってやって家賃収入を得られるようにしておくとかしたら良い。
何より義兄。愛人を作った親に憤るのは理解できるが、不倫は犯罪ではない。でも、お前がやった強カンは犯罪だ!と腹が立った。しかも、挨拶に来ただけで手を縛って無理やりって、まともな人間ではない。カチンとくる言葉だとしても、暴言でもない程度で。しかも、そのシーンを長々と書かれても悪感情が増幅するだけで、義兄に魅力を感じなくなってしまう。行為中にイン乱と罵るが、お前が言うな!!と思った。
で、そんな事をされたのに、主人公は過去の出来事があって義兄に憧れを抱いたまま。でも、その理由が、頑張りすぎるな、の一言というのは弱い。確かに誰かの一言が救いになることは充分理解できるが、恋愛としての憧れではないし、その一言以外に義兄の人となりがわかるエピソードが彼らの間にないなら、幻滅する方が自然だと思う。まして、義兄が強カンを悔やみ苦悩し謝罪するシーンがほぼ無くて、愛の言葉も響かなくなってしまった。まず謝れ!と思う。
主人公も、友達のフリをする為に来たのにあっさり身体の関係になる軽率さがどうなんだろうか?と。で、あっさり一緒に暮らしたいと口説かれて困窮するし。そりゃぁ、そうなるだろと呆れてしまい感情移入にいたりませんでした。
例えば、イン乱と罵るなら、弟がウリをやってパトロンを得ているという噂が立っていた等の理由をつけて欲しい。愛人の子をイン乱と決めつけるのは品位を疑う。ヤクザ設定とかチンピラキャラならイメージ作りのセリフとなるだろうけれど。他、突っ込み所への工夫が欲しかった。
そもそも強カンまでさせる必要があったのか。そこから始まる愛を描くならもう少し強いエピソードが欲しい。家で和やかに過ごすだけで義兄弟認識であり同性の二人が、同性愛者という前提なしに愛し合うというのは少し弱いと思う。
物語の大筋や方向性は好きでした。だから、勿体ないなと。
この作者の他の作品が大好きなので、今後も応援します。