このレビューはネタバレを含みます▼
主人公である作家(スランプ気味)が、作家の作品になりたがった女と、その女を利用して横領から別人になろうとした女により盗作させられ…という話です。
担当編集、作家の姪と刑事二人…と、全2巻にしては人物がおおいのですが、メイン人物8人それぞれの劣情と激情を淡々とたった2巻で描ききった凄まじい作品だと思います。
大正の文豪の人生を、現代にトレースしてさらにミステリと耽美を加えたような。明日美子先生のBLと少女漫画のファンですがいや、素晴らしかったです。
作家が理想とする女の顔に二人が整形し、自己というくくりが曖昧になる女と、盗作してしまい作家としての己を曖昧にしてしまう主人公との対比が美しくも悲しい。
主人公は作家としての自分を求めたけど、作家じゃなくても自分を求めていた女が2人いたという終わりも文学的で好きです。
これは一度読んで理解する作品ではありませんね。何度も読んで都度新しい視点から物語を見ることができる。耽美に抵抗がなければすごくお得な作品です。