ザ・ムーン
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ザ・ムーン

ジョージ秋山

ジョージ秋山先生の本格的SFロボット漫画👍

ネタバレ
2021年10月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 当時人気の特撮&ロボット物に対抗して(?)描かれた、ジョージ秋山先生にしては珍しい(失礼!)本格的SF漫画です!主人公のサンスウ・その恋人カテイカ・シャカイ・リカ兄弟・ズコウ・オンガク・タイソウ・ヨウチエン(何故か、コクゴはいない)の九人の少年少女全員の脳波が揃って届かないと動かない正義の巨大ロボット、ザ・ムーンが、数々の悪者が引き起こす難事件を解決していく物語です(敵も巨大なロボットを出してきます)。九人の脳波が届いて初めて動く巨大ロボットという設定が斬新で、当時、連載誌の発売が毎号待ち遠しかったです!また、ジョージ秋山先生独特の絵柄が何とも奇妙で怖ろしい感覚を醸し出してもいました。三日月型のプロテクター(?)を背負うザ・ムーンが満月と同化すると、無敵の破壊光線を発射するというのも、当時のSF特撮ブームを反映していたようです。が、途中から九人の少年が般若心経を唱えてムーンの巨体を浮かすとか、当時の少年誌の読者には内容が難しくなっていったのが、途中で人気下降で連載打ち切りになった原因のようです。最後は、宇宙からやって来た犬型宇宙人・ケンネル星人が地球上に撒いた殺人カビに為す術もなく人類が滅びていくエンディングに、子供心にも愕然とした記憶があります。勧善懲悪という、当時の特撮作品全般の風潮に媚びない作者の作画態度にも感嘆しましたが、あれは、ジョージ秋山先生の現代社会に対する憤怒の念だけではなく、連載打ち切りという理不尽な仕打ちに対する怒りの表明だったのかもしれません。あくまでも私の推測に過ぎませんが…。
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