このレビューはネタバレを含みます▼
作者買いです。作者様の作品がいくつか、ただいまセール中。フォローさんのレビューがあがってたので未読のこちらの作品を読んでみました。6つの短編におまけとあとがきで全190ページです。1つ目は、美大生のお話。人の純粋さ、素直さってある意味強いなーっていうか、無敵な感じがします。2つ目は、男子学生2人と噂の女子のお話。若さからの言葉の無神経さとか、残酷さ、無鉄砲なところが描かれています。苦い想いや経験を繰り返しながら、大人になっていくんだなぁと感慨。3つ目は、ピアノの奏者とチェロ奏者のお話。結局は離婚してないのか?4つ目は、自分大好きなナルシストくんとキノコ頭の幼なじみの表題作。これ、結構好き!フォローさんもおっしゃってたナルシストぶりがかなり笑えます。この短編集の中で何回か出てきた「おまえ、俺のこと好きだろ?」的な発言。相手からの好意は感じたとしても、それを言葉にして当の相手に伝えるところに圧倒的パワーを感じます。こういうのって、自分に自信のある人間にしかなかなか言えんでしょ。でも、このお話では自分の好きという気持ちを誤魔化す逃げの言葉として使ったって告白してますもんね。5つ目は、同棲しているっぽい二人の関係性が垣間見られるお話。実際の絡みはなくても、あとがきによって妄想が掻き立てられます(笑)。6つ目は、ジェンダーのお話。こういう話を読むと、固定概念に縛られない世界が広がればいいなと思ってしまいます。自分が自分らしく生きられて、みんなに認めてもらえるならどんなに生きやすいだろうかぁ。私自身の中でも固定概念で無意識に思ったり、言ったりしているところを反省してしまいます。ヤマシタ先生の短編は、おまけがついていることが多くて、そこでなんか救われたり、余韻を増幅させたりといい役目していると思います。こちらも読めて良かったです。