BABY BITCH!
」のレビュー

BABY BITCH!

井ノ本リカ子

これは秀逸過ぎる短編集だわ

ネタバレ
2021年10月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 刺さりました!どのお話も!
って、そっかこれ短編集だったわ、と思い出さねばならない程、ひとつひとつに読み応えがありました。

パッと見てまず、ほぼ修正無しでございます。
作家さまの思いの丈を充分に受け取ることができます。
掲載されたのが2004年という事で、当時はゆるかったのでしょうか?
それが読みホで読めるんですよ!
私は読みホで読んですこぶる気に入ってしまったので買いましたよ。

ほぼ無修正だと、ただのエロいお話だろうと思われるのは心外で、前述の通り深掘りし放題、妄想し放題の良作揃いであります。
短編で成功する鍵は、減算の加減だと思います。
落とせるところは徹底的にこそげ落とす。
限られたページ数内に描く情報は、ある程度読者に想像の余地を残す程度に抑える。
そうすると作家さまの意図と読み手の想像力で補完される物語が際限なく広がるんですね。
敢えて語らない美しさ、その上でめちゃくちゃにエロい。
そういうお話でエロを堪能させ続けた後、ラストに収録された「さよなら恋人」で、読後感をやるせない思いでいっぱいにしてしまうという構成も秀逸。
忘れられない一冊に仕立て上げ、お見事!というほかありません。
読みホに登録されている方は是非とも読んでいただきたい。

ちなみに最初のお話には読む人によっては耐えがたいかもしれない描写があります。
ただ、そこまで描いた作家さまの熱量を感じ取っていただけたらな、と思う次第であります。

※※※※※ごめんなさい以下追加でネタバレします※※※※※

サラッとほかの方のレビューを読んで思ったのですが、もしかして「さよなら、恋人」の受けちゃんが、死んだ当の恋人本人の霊だと気づいている人少ない?
死んだ本人とわかって再読するとエロいえっちシーンなのにすごく泣けます。「…もう、忘れちまえ」で涙腺決壊します。
老婆心ながらそこを読み取れば感動の大きさが全く違うので書きました。
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