てるてる×少年
」のレビュー

てるてる×少年

高尾滋

すごく切ない。でも大好きな作品。

ネタバレ
2021年10月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終えたあと、その世界の濃厚さと、人物たちの存在感とその内面の重さにくらくらした物語。なにもそこまでというほど重いものを背負わされている紫信と、辛すぎる過去を持つ才蔵。主と従者である2人はしだいに強く惹かれあい、過酷な運命のなか、互いの存在を心の支えとしていく。なんといっても、紫信と才蔵の恋愛模様がもう、本当に最高。才蔵の、従者でありながらお姫の紫信への気持ちを抑えられず、抱きしめたりキスしちゃったりするところや、そんな才蔵に男として惹かれていく姫がたまらない。才蔵は紫信への気持ちを強くするにつれどんどん男っぽくカッコ良くなり、紫信も自分の気持ちに気づいてからはほんとうにかわいくて、泣けるくらい。あと、この主人公2人のやりとりが、中2とは思えない。それぞれが一人では背負いきれないものを背負っているゆえに、心の支えであるお互いの存在がシャレにならないくらい大事すぎて、相手に本気の本心以外で接する余裕なんてない。あなたが死ぬほど大切で、必要だと。中2にして、お互いの存在の有無が死活問題になるくらいに、真剣に愛しあう男と女。それが必然なくらいに、2人をとりまく世界は過酷で。この作品、本当に少女漫画雑誌でやってたの!!?さすが花ゆめ!!とびっくりした。2人の心の傷の深さを思うと涙が止まらないけど、もう愛する人と一緒だから、大丈夫だと思える。
そして才蔵という人物の振り幅のデカさが本当にツボでした。メガネを取るとまさに豹変する。男度が急激に増して、カッコ良いのなんの。才蔵の男っぽさ、愛の深さにはドキドキくらくらしっぱなしでした。計り知れない魅力があります。ずっとずっと好きだと思う。そして2人のことは、ずっとずっと忘れないと思う。
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