犬も喰わない
」のレビュー

犬も喰わない

彩景でりこ

限りなく深い愛

ネタバレ
2021年10月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 追われる男、追う男、追う男を追う男。
複雑に見えてシンプルなのかも知れない。
第三者を巻き込み、その人達の身体を通して、肉体ではない精神の様なもので繋がっている2人。そこに空木が間に入る事で、2人の歪んだ関係から、3人の関係に移りかわっていくさまに、やっと過去に区切りをつけ新たな一歩を踏み出す、これも各々が望む歪んだようにも思えるが愛の形なのかも知れないと思えてしまった。
他人を巻き込む事なく当人達が納得して三者三様を演じながら繋がり合えるって究極だと思う。
同時収録の「 写真 」「 骨 」。此方も歪んだ関係という共通点があるものの、あまりの切なさに涙が溢れた。
骨になった乙彦にやっと本音を曝け出す。辛い。辛いなぁ。
お前にはやらんという言葉がせめてもの救いのようでした。
どちらも長い歳月にわたる限りなく深い愛。
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