泡沫の鱗
」のレビュー

泡沫の鱗

ソライモネ

描写がとても印象的

ネタバレ
2021年10月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ ソライモネさんの作品を読むのは2作目。
最初に読んだ「88rhapsody」もよかったですが、
こちらの作品もよかったです。

私の好きなアーティスト系のお話ですが、
それだけではなかったです。

途中からの展開に「え?」とびっくりしたけれど、
凪の歌声が幻想的な泡で表現されていた理由に納得し、
タイトルにも伏線があったことに気づき、
水族館でも魚が集まっていたな、とか、
凪の歌声で海から魚が飛び出すシーンがあったなとか、
もちろん父親の言動もそうですが、
読み返すと作品全体で、凪の秘密を表現していたことに気づき、
急な展開は突拍子もないことではなかったんだと後からも感心しました。

喉を痛め歌をなくした鉄太が
「(夢が)なにもかも全部”泡”になったと思っていた」と冒頭で語り、
溢れる”泡”のような歌声を持つ凪が、鉄太の夢を再び取り戻させる。
このキーとなる”泡”の描写がとても印象的で惹き込まれる作品でした。

最後は分かりやすいハッピーエンドではないですが、
お互いへの愛が溢れる良いお話でした。

総230ページ。
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