レッドリスト 絶滅進化論
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レッドリスト 絶滅進化論

安生正/村瀬克俊

人類は万物の霊長ではない

ネタバレ
2021年10月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ これまで、増えすぎて環境を破壊する人類に対して警鐘を鳴らすような作品が多々発表されてきたが、この作品もありふれた「ある生物」が進化によって人類も凌駕する能力を獲得し、人類と存亡をかけた戦いが生じると言うもので、かなりの力作。面白いです。

事態は都心で新種と思われる赤痢と破傷風の集団感染が発生するところから始まる。
感染源を特定する間もなく、大量のヒルに襲われて多数の人が死亡し、そのヒルが体内に赤痢菌と破傷風菌を保有していたことが分かった。
同じころ、地下鉄の構内でネズミの大量発生と、バラバラ殺人(?)事件が発生。病原菌はどこから来たのか?一連の事件は関連しているのか?
調査に乗り出した厚労省の課長補佐である主人公が真相に迫っていく。

何が起きているのか、事態を把握しているであろう生物学者は絵にかいたようなマッドサイエンティストで、対策をミスリードさせ、主人公の上司は無能で主人公の足を引っ張るし、事態は急激に悪化していく。

2巻の最後の方で真の敵が判明するが、急激に勢力を拡大する「天敵」に対して人類の対処は後手後手になってしまっている。

タイトルの「レッドリスト(絶滅危惧種)」は人類のことであり、果たして人類は、この生存競争に勝てるのだろうか?
続きが待ち遠しいです。
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