このレビューはネタバレを含みます▼
スルスルと読みやすい文章で、すぐに引き込まれて夢中で読みました。旅がしたくてもできない、依頼者の込めた気持ちと共に依頼の地へ足を踏み入れるおかえりちゃん。彼女の誠実な人柄が、旅先で出会った人たちも、依頼者も、そして身近な人たちも、みんなを笑顔にしていく。その想いが胸を熱くして、何度も目頭に涙が浮かびました。旅っていいなぁ…。もし本当にこんな旅屋があるのなら、私も依頼したい。母が、きっと行きたくて行けない大切な思い出の地を、おかえりちゃんに旅してもらいたい。そんな気持ちを強く抱いてしまい、これが小説であり、実際に依頼できないことがとても残念です。
そんなふうに思えてしまうほど、とても魅力的な旅の数々と、秋の晴天のような清々しい読了感です。