愛というなまえ【単行本版】
」のレビュー

愛というなまえ【単行本版】

田中森よこた/Henri

よこた先生の笑いなしシリアス作品

ネタバレ
2021年10月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ よこた先生の作品は溢れるばかりのエチに少しの笑いを含めた作品が占める中こちらの作品は完全シリアスです。
しかも恋文の話から郁郎の父親はとんでもない父親だと判明。郁郎は父親を亡くしたばかりでなく、生前の父親像も砕かれることになります。
恋文は郁郎が小さいからと生活全般代わりにしてあげるという優しい声かけは一切しない。これからは頼るのは誰もいないと郁郎をおもんばかってのことか?あるいは自分が草太(郁郎パパ)を慕っていたのに利用された意趣返しか?

郁郎が東京の大学に進学する際、恋文が一人号泣する姿は郁郎に見せたくない強がりだったと理解します。郁郎にならば弱い自分をどうして見せられなかったのか?。。愛情に飢えて慈しんで育てられなかった恋文はこうも自分の心情を吐き出すことがヘタなのかと思いました。おばあちゃんには大事に育てられたけど、年齢的に守る立場ではやはり甘え下手でしょう。

郁郎は恋文のことをちゃんと考えて卒業後の進路も決めてます。そこで初めて恋文は泣きじゃくって郁郎に飛び込むのです。
甘え下手、頼り下手、口下手な恋文がやっと本音を言ってくれた時にじわーと込み上げるものがありました。

末尾によこた先生の感謝の言葉が述べられてます。たった8行にこの作品への思いが込められていて心が温かくなりました。
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