黄昏アウトフォーカス
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黄昏アウトフォーカス

じゃのめ

男子高校生たちの真剣で熱い想いが眩しい

ネタバレ
2021年10月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★静かに映画に情熱を燃やす真央と人を寄せ付けない雰囲気をもつ寿の男子寮+映画部ストーリー。

★高校の寮で同室になった真央と寿。ある1件を機に寿がゲイであることを知った真央は、「怖くない」と受け止める。それから1年、高校2年生になった2人はカメラの前で再び3つの約束をする。2人がルームメイトとして上手くやっていくための約束は、引き続き守られるのか…。

★気が付いたら、自分自身がカメラになったかのように、1つ1つのコマを目で追っていました。それくらい、"映画"を意識した作品だと思いました。スマホのカメラ越しに寿を見つめる真央が気付いた気持ち、映画部のカメラを通して大友と委員長を見る真央の気持ち、スマホの画面をズラして視線を合わせた真央と寿の本音がとても印象的で、ラストの黄昏に混ざる場面は、映像としてはにじみながら、2人の想いが際立ち、感動しました。淡い温もりが胸にたまっていくように「好き」になっていった2人の姿と、気持ちを確かめ合えば一気に膨れ上がり、止まらない「熱と欲」の対比に胸の鼓動が高まりました。体を重ねる場面でも、考え抜かれた構図とアングルは"映像"のようであり、体の曲線と視線は色気とエロさを増していました。交わされる言葉も生々しくていいなと思いました。

★番外編等含め230ページ。真央と寿の恋だけでなく、映画部の仲間との友情や映画に懸ける青春も素晴らしく、特に、市川が、映画を通して未来を想うこと、未来で今を思い出すことを語る場面は、青春のかけがえのなさと変わりゆく自分達の両方をフォーカスしていて、とても深みを感じました。

★"男子寮"という響きだけで胸がときめく体になってしまいました。
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