ラストフライデイ
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ラストフライデイ

絵津鼓

前途多幸で読後多幸

ネタバレ
2021年10月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★まだ見ぬ彼女とのデート貯金をしている大学生・拓海とラウンジでボーイをしている欣也のネオン街ピュアストーリー。

★実家の花屋の手伝いで訪れたラウンジで、拓海は欣也と出会う。天然でドジな拓海は、スマートにフォローしてくれる欣也のチャラさと優しさに感情が忙しい。花屋で、散歩道で、拓海の部屋で少しずつ距離を縮め、仲良くなっていく2人は、拓海作デートプランの練習をすることになり…。

★「デート貯金」「デートプラン」、ネーミングセンス等、意気揚々とアピールするけれど、笑いの提供になってしまう拓海が愛らしいです。笑ってしまうのに、プラスの言葉を返してくれる欣也が、いい男だな、と思います。女性への態度を見ても、元々の彼の気質かな…とも思いますが、二十歳デビューで本当は自分に自信が持てない拓海の心に少しずつ浸透していく欣也の優しさは、私にもじんわりと染みてきました。終始、賑やかな雰囲気で話が進むかと思いましたが、ふっと差し込まれる気になる表情のコマがあり、その答えが分かる欣也の秘めた想いと伝える言葉に、「本当に、悩みのない人なんていないよね…」と、どこか安堵に似た気持ちが芽生えました。2人が、それぞれに自分の変化に気付くシーンが、とてもいいなと思いました。君がいてくれたから、おれは…、君に対して、俺は…的な。

★描き下ろし等含め238ページ。切なさを交えながらもベースがとてもコミカルなので、あっという間に読めてしまいます。私は、「フフッ」と笑ってしまう場面もたくさんあって、本当に楽しく読ませていただきました。

★こちらのケンちゃんが、『メロンの味』に登場していて、とても嬉しくなりました。
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