夜を走り抜ける
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夜を走り抜ける

湖水きよ/菅野彰

深い愛の物語

ネタバレ
2021年10月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 晴生の深いトラウマが悲しかった。妹を守るため、自分で全て抱え込み、息を潜めていた過去のせいで、今も感情を無くして投げやりな、いつまでも子どものような晴生が痛々しい。虎一と出会い惹かれあううちに、安心感から虎一を振り回すようにわがままを言う姿は切なくなってしまう。それを、ただ受け止めるだけでは無く、晴生の気持ちを理解して守ろうとし、2度と同じ目に合わせないように気遣って焦らない虎一がカッコ良すぎる。良い男だなぁ。虎一に出会って、妹を守ってきた立場から、守られる立場になった晴生は救われたし、虎一を失いたくないとの気持ちから、臆病になった事を自覚する晴生が良かった。このまま上手く行くかと思ったら、最後にどんでん返しがあってどうなることかと思ったけど、晴生が自分の気持ちを素直に吐き出した事で、晴生の代わりに自分が購おうとする虎一の男前ぶりにやられました。宝生社長はただ嫌な奴だと思っていたけれど、誰にも心を許さない晴生を心配し、愛してくれていたんですね。高嶋は晴生が気付かないことを見ていてくれて、とても良いコンビ。晴生と虎一は最後にようやく結ばれるけど、ずっと自分をコントロールして我慢してた虎一がここでも晴生を怖がらせないように、目を離さず優しくするのが堪らない。晴生も怖がりながらも虎一を受け入れて『子どもじゃない、大人だ』と人を愛せている事を実感して幸せになれたのが本当に良かった。あのネックレスをいつまでもつけている晴生に虎一は嫉妬するけど、その理由を知って『待つよ』と言ったので、これから2人で喧嘩もしながらずっと一緒にいるんだろうなぁ🖤
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