おまえでダメならもうダメだ
」のレビュー

おまえでダメならもうダメだ

未散ソノオ

唯一無二のしあわせ

ネタバレ
2021年10月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★優しくて世話焼きなバーのマスター八雲×人の気持ちが分からないKYリーマン伊勢島のプロポーズストーリー。

★結婚式直前に花嫁に破談を突き付けられた伊勢島は、10年来の友人八雲に「結婚を前提に付き合ってくれ」と土下座する。八雲は「こんなに求められて悪い気はしない」と受け入れるが、伊勢島にとっての結婚は社会保障。「好きとか分からない」と言う伊勢島に八雲は…。

★オリジナリティあふれる設定に、いつも冒頭から前傾姿勢です。癖がありすぎる伊勢島ですが、八雲フィルターを通して見ると、可愛い。微妙に噛み合っていない2人のやり取りも面白くて…「ブツが粗末」には笑ってしまいました。伊勢島が、八雲との交際を経て「好き」の気もちを知っていくお話かと思っていましたが、読みが甘かったです。絵本作家のミトさんが、八雲を思って描いた絵本を読んだ八雲の姿に、「その気付きは、苦しいね…」と私の胸も苦しくなりました。そして、エノキの正体を知ったあと(またまた笑ってしまいました。チラ見が可愛すぎますよ)、八雲を抱き寄せて「そのままのお前がいい」と言う伊勢島と、伊勢島に体を預ける八雲に、こんな2人に行き着くなんて…と胸がいっぱいになるのです。何かが足りない、何かが欠けている人たちが、補い合うだけでなく、思い合い寄り添い合う関係になっていく過程が、本当に優しくて温かくて、幸せです。

★満足の210ページ。描き下ろしとカバー下を読む頃には、天然な伊勢島に八雲フィルターなしでキュン。

★「大丈夫 割れ鍋には綴じ蓋がある」と言ってくれるソノオ先生の作品が好きです。ミトさんと幾さんの出会いも気になりますね。
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