このレビューはネタバレを含みます▼
僕は阪神淡路大震災の直後にこの推理小説の文庫本を購入しましたがその後の様々な事情で手放してしまい、そして今回、思い切ってコミックシーモアで再購入しました。表題作でしかも1作目の「向日葵は死のメッセージ」だけは「キャサリンシリーズ」ではありませんが…。この推理小説での最初の犠牲者の「松山総一郎」の家庭は、僕にとっての「少女漫画第1号」であります池田理代子先生の「オルフェウスの窓」を連想させる複雑な家庭でした。彼の血を引いていない「夏子」が松山家の遺産を分取ろうとして総一郎とその実の娘の秋子を殺害すると言う、「オルフェウスの窓」の主人公の「ユリウス」を連想させるあらすじでした。また、2人目の犠牲者の秋子が持っていました向日葵の花の「偽り」と言う意味のダイイングメッセージも実に見事でした。主人公の「谷川百合子」の台詞でしかも山本鈴美香先生の「7つの黄金郷」や「太陽の子エステバン」と言う題名のNHKのTVアニメを連想させる話ですが、この向日葵の花、太陽神信仰が盛んでしたインカ帝国で「神聖な花」とされていました。また、2作目の「枝垂れ桜殺人事件」では、1人目の犠牲者が紫の花をダイイングメッセージに利用している上に、大和和紀先生の「天の果て地の限り」や里中満智子先生の「天上の虹」に登場しています額田王の和歌が登場していまして大変面白かったです。そして、3作目の「福寿草(アドニス)の殺意」も、僕自身のコミックシーモアデビュー作品であります「秘密の授業」を連想させる内容で大変面白かったです。さらに、4作目の「弟切草の殺意」も、大和和紀先生の「あさきゆめみし」を連想させる複雑怪奇な男女間の関係とそれによる嫉妬心の恐ろしさがテーマになっていまして、これもまた大変面白かったです。