このレビューはネタバレを含みます▼
とある港町、恋を探して陸へ上がった深海魚(魚人)と漁師の青年のちょっと不器用な物語。設定がユニークで絵もどこか魚めいてて、海のお話なだけあって背景も綺麗でイイ!と一気に惹き込まれました。
とにかく健気で可愛い魚人の光くん(受)。彼はある決意のもと、これで最後にするつもりで海に入っていたところを漁師の網に掛かって引き揚げられてしまう。
最初「いくら美形でもこんなガッシリした体格の攻を「綺麗な女性と勘違い」したりする…?」と思ったけれど、読んでいくうちに何となく納得。チョウチンアンコウのオスは大きなメスの身体にくっつく習性があるのだとか。まあ性別云々は置いておいて完全に一目ぼれだったのだろうな…と物語が進むにつれてそういうのも解ってくるのですが。深海魚力(触覚の鋭さ)を活かしてマッサージ店を開くとか、斬新で面白かった。
攻の潮太郎もガサツで口は悪いけどウソがなくて優しいイイヤツ。魚人の光を偏見で傷つけたりしないし、大切にしたがってるのが画面からすごく伝わってくる。彼もまた、徐々に恋におちてゆく過程がとても愛おしかった。言葉が足りない分、表情やしぐさで魅せてく表現がよかったです。題材そのものはセンシティブともいえるから、基本悪い人が出てこないところも安心ポイントといえるかも。
二人とも不器用だから相手を大事にし過ぎてなかなか進まなくて、でもそういうところが最高に萌える。光くんのご両親もまた素敵なんですよね、後半でのお母さんとのやりとりでは涙が止まらなくなってしまった。こんなに温かい気持ちにさせてくれてありがとう言いたくなる今いちばん大好きな作品です。
巻末の後日談で可愛いエッ…を致しておりますが、こちらもすごくよかったので、両思いになってからのあれこれも続編として読むことができたら最高に嬉しいです。