狼は花の馨り
」のレビュー

狼は花の馨り

りゆま加奈

正直で純粋で

ネタバレ
2021年11月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 好きな人、愛する人に、好きだ、愛していると言えない。伝えても、お互いの気持ちがいくら同じであっても、重なってはならない──なぜ? アルタは忌み嫌われて育った白鹿さんだから掟や決まりごとが納得できない、なぜ自分を偽らなければならないのか‥純粋だからこその愛と葛藤が、痛々しくもいじらしい、そんなお話でした。もう一作、アルタの番相手だった王子は掟ばかりに縛られ自分の心が見えなくなっていて、鈍く光る刃物のようでした。なんとなくここまで黒×白の印象が強かったのですが、そっか‥白×黒もありなんだと思ってしまいました。このシリーズずっと思ってますが、衣装や小物、背景にいたるまですべて作家さんの手書き、模様も手書きという素晴らしくての込んだ作品です。読みなれている今の漫画の大半は、柄トーンとドットトーンで模様にしてしまうから衣装の大きさや向きと柄が合ってない、背景もデジタル画ならではコピペで複製されているなんてことが多くて残念要素になるのですが、一つ一つちゃんと描かれているので読んでいてしっくりきますし、それが作品の深みになり、読み手を楽しませてくれていると思います。
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