天涯行き
」のレビュー

天涯行き

凪良ゆう

カリントウと一緒に埋めたもの

ネタバレ
2021年11月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ どこにもいけない遠召と高知。 
それぞれが抱える重たいものを見ないで時と身体を重ねていく。
遠召の心情も、高知の心情もそれぞれ細やかに記されていて、切ないおもいになりました。加害者か、被害者か。立ち位置が違うのであれば、そこは違うものになっていく。そういった当たり前のことは当事者になれば、煩わしい理屈。言葉だけでは尽くせないもの。重たいものはカリントウが持っていってくれたんだと思うのです。離れている3年半の間に、少しずつ、息を吹き返すように生きる遠召。空っぽに注がれたものは、愛なのでしょうか。再びの2人の穏やかな日々が来ることを感じられるラストに心が震えます。イラストも素敵。とても作品に合ってると思いました。辛いシリアスな作品だと思いますが、読む価値大いにあります!
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!