鬼と天国 再 【電子限定特典付き】
」のレビュー

鬼と天国 再 【電子限定特典付き】

お吉川京子/阿賀直己

さらに続編?おめでとうございます

ネタバレ
2021年11月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作より、物語とキャラクターにより深みが増している。青鬼(くたびれ受)との交際により初めて人付き合いというものを知った天獄(美人攻)の人間的成長が一つのテーマになっていて、読み手もなんだか切なくなったりイライラしたり。天獄に撃沈した当て馬後輩ポジのイケメン氏もなんとか前に踏み出せそうで一安心。新キャラの腐女子教師も、二人の関係に踏み込みすぎないギリギリのラインでまあ許容範囲かなとは思うけど不快に感じる人は一定数いるかもしれない。出てきた時点では私はちょっと微妙な気持ちになったので…。
終盤、二人は青鬼の実家で今も彼の心を縛り付けている母親と対峙する。前作からのこの毒親の描写は個人的にキツかったので、青鬼にかけた天獄のある言葉にはほんとうに救われた。たとえ親子でも、「あなた」を傷つけた人のことを許したりしなくていい。親子関係を無理にハッピーエンドになんか持っていかなくていい。ゆるやかにフェードアウトしたっていいのだ。そんな気持ちにさせてくれる、ある意味とても今っぽい物語だと思う。そして、天獄のある「申し出」と青鬼の決断…。
お互いがお互いに出会えてよかったねとしみじみ応援したくなる、ちょっと破天荒で切ない大人のお話。単純ではないぶん読んでいてザワザワすることもあるだろうけど、それも込みで続編を楽しみにしています。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!