このレビューはネタバレを含みます▼
シリーズ5作目にして一応完結、龍と竜→白露→銀の鱗→虹の鱗→啓蟄(今作)です。
ここでは過去に龍と竜の間に起こっていた危機が描かれていますが、お互いの想いが手にとるように分かるだけにハラハラしながら一気読み。そして、私は龍一郎に心奪われやっぱりこういう男が好きだと再確認しました。
カフェを立ち上げるために料理の専門学校に通う竜城は憧れていた学生生活を取り戻し充実した日を送っていますが、一方の龍一郎は焦りに似た感情を募らせていきます。その理由を知るとえも言われぬ切なさに襲われ、龍一郎の思慮深い愛情に胸が痛みっぱなし。誰も悪くないんだけどボタンの掛け違いがこんな展開になっていくとは‥。お互いの気持ちが分かるだけに、今作は2人の思いの狭間で悶え死ぬかと思いました。
そんな中で、弱さを認められる人が実は真の強さを持っているという人間をこうも見事に描き切るのは流石の一言。虚勢を張る場面も誠実に向き合う場面も、振り切って描いてくれたからか龍一郎の魅力が溢れまくってて感無量でした。
あとがきを読むと、先生がどんな思いでこのシリーズを描き切ったのかと思いを馳せてしまいます。こんな痺れるBLを書いてくださり感謝しかありません。ひとまず完結とはなっていますが続編も他シリーズにも繋がっているようなので、また時間のある時にチャレンジします。終わって寂しいけど、面白かったです!