この世のふたり
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この世のふたり

くも

心中のち、淡々とした語り口の平和な日常

2021年12月9日
不倫心中で妻に残された夫と愛人に残された情人が出会い…と書くとドロドロかと思いきや、終始淡々とした語り口で平和に進みます。明治や大正文学っぽい会話劇のせいか、2人の関係はサラサラと上品で全くドロドロしていない!寧ろ『こんな日常っていいな』と思える程に良い。なんとなく、先生の愛し方と青年の愛し方の相性よかったのもあるんだろうな…(激情的に愛されたかった心中した2人とは相性悪かったんだろう)最終的に、巡り合わせの不思議と、相性いい相手に出会えた2人の上品なやり取りを見守る気持ちになりホッコリ。こんなドロドロ設定でこんなサラサラ気持ちいい話を書けるのは凄い。
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