スリーピング・バグ
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スリーピング・バグ

京山あつき

プログラミングしていく素敵な恋

ネタバレ
2021年12月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 低めの温度での物語が心情表現にリンクしているようで噛みしめるように読んでしまう。
恋愛に興味がなく性欲も持たない潤野と、好きなら繋がりたいという本郷との感情や距離感が、コアなIT業界らしい「バグ」や「仕様」に例えながら描かれているのが面白く、それでいて物語にピッタリマッチしている。
「プログラムが走り出す大切な呪文」によって気持ちだけでなく身体の触れ合いの心地良さや、ひとつになりたいという欲求、抱き合っても淋しさが埋まらないのは何故なのか、、
潤野の「もっとひとつになりたい」を時間をかけて連れ添って混じり合う。そんな身体の内も外も満たされていくという「神様の書いた恋愛コード」って、、素敵すぎ。。
3番線のカンパネルラの心理描写もロマンティックで魅力的でしたが、こうゆう淡々とした空気感の中でのもどかしさや、ゆっくりと徐々に低温だったものに熱を加えられていく心理描写がとてもいいですね。
作品全体的に、どこか品があるように感じるのは、あとがきで垣間見える作者さまのお人柄や、作者さまならではの台詞使いなのかもなどと自分勝手に考えてしまいました。
とても良かったです。。
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