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今月(5月1日~5月31日)

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シーモア島
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  • 穢れのない人【コミックス版】

    虫飼夏子

    後日譚の最後の言葉の意味を考える
    ネタバレ
    2026年2月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ なんであの言葉で終わるのかを考えてみました。言葉にするのは野暮ですが。

    復活のモチーフである"朝日"が最初に象徴的に描かれるのは、上巻で秋鷹が全てを赦そうと決意したときです。
    それまで神父として神の教えを説き、「なぜ自分がこんな目に」と地獄を味わって、最後は自分に罪をなすりつけた相手を心身ともに信じて裏切られる。赦せる可能性が1%もない状況で、朝日を眺め、ここまでの状況で相手を赦すことが神から授けられた自分の使命なのだと思う。本当の隣人愛を実践するために、この状況があるのだと木場を救うために赦す。赦された木場は、心をひらいていって、最後には動機となった幼少期に父から受けた被害と犯行の経緯を告白する。「じゃあなんで恭介は神父になったんだ」「頭ではわかってる罪を償わなきゃって」。自分が受けた傷が相手を傷つけていい理由ではないと時間が経って理解したから。そして秋鷹が捕まったことで罪を償う機会もなくなった。そして、罪を被った秋鷹だけが木場を赦せる。
    「秋鷹さんって本当に今まで神様のことしか考えてこなかったんだね」に続く、「僕はあなたにずっとそうだよ」、の"そう”は神を信じること。過去回想で罪を告白した瞬間から、秋鷹が木場の神様だったとわかる。罪をあがなった秋鷹が、自分を赦してくれたからこそ、罰を受けたかった。
    被害者の親が木場が真犯人だと認識していたということは、冤罪逮捕で秋鷹は再審無罪になったんだろうか。木場は報復を受けてしまうけど、自首していなかったら刺されていたのは秋鷹だったろう。だからこそ、「自首してよかった」。自分の罪を他人に、愛する人に背負わせたままでなく良かった。
    9時前には出られるという会話からも最後の朝日が日の出ではなく、モチーフとしての朝日であることは明白だ。自分の名で罪を引き受け、自首して社会的罰を受け、死という報復を受ける。そこで初めて偽りの生から蘇ることができたということなのだろうか。いつか罰が下ると想定していた木場は、自分の罪が法の裁きをもってしても赦されることではないという自覚があった。それは冤罪を着せてのうのうと生きてきた事実によるものではなく、あいする人から赦しを受け恩寵を受けた事実の重さからだ。裁かれる覚悟をしていたのに、裁かれる前に赦されてしまったから。生きていて良いと言われてしまったから。愛されてしまったから。
  • 「アキと花織は」

    すぎさき瑛梨

    過去の栄光にすがって生きるのか
    ネタバレ
    2025年12月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 私は30代で大学生していて、受験も控えてます。そんな事はいいんですが、周囲の中で浮いたことしているとやる気スイッチを簡単に押せないときがあって困ります。そういうときに背中を押してほしい、頑張っている人をみて頑張りたいときにこの漫画を読みます。
    漫画のあらすじはシンプルですが、それぞれの主人公の葛藤に胸を動かされます。眼鏡のふとっちょいじめられっ子の主人公アキは完璧ガールの名波さんへの恋をきっかけに勉強やダイエットを頑張ります、このとき向き合う相手は自分。突然勉強し始めた息子に「あんな今までやってこなかったくせに」と言いかけたお母さんに「やってこなかっただけかもしれない」と答えるアキ。どうせ自分はと諦めてバカにされることに甘んじていた日々の悔しさと自分の不甲斐なさに気がついたからこその「やって来なかったのは自分だ」という言葉。そこからは方向性に迷いながらもがむしゃらに頑張り、あっという間に結果を出していくところは漫画らしいですが、この気持ちの過程があったからこそ、変わっていくアキが面白く応援してしまう。そして、そんなアキの目標で憧れである名波さん。学年一位の成績と優れた容姿、過去にバレエをやっていた運動神経やスタイルの良さで学校でも目を引く存在ですが、彼女の葛藤も根が深い。子供の頃から得意だったバレエ。親の求める勉強との両立や成長の過程で言うことを聞かない身体に悩むうちに、どんどん年下に追い抜かされて諦めてしまう。バレエ以外のやりたいことを探す日々で、競争から逃げてきた自分を振り返る。逃げてたどり着いた狭いうちわノリで、昔取った杵柄で褒めそやされて自尊心を保つ自分の未来の姿を思う。そんな彼女の未来にわたしもいるのかもしれない。過去の些細な自慢話で持ち上げられて、本当に頑張ってきたわけでもなく流されてきた今の自分はどうだろう?結局、難しい挑戦に踏み込まないで、「自分にはできない」とか「あの人は特別」と言って、「私の人生はこんなもん」と現状にとどまってきた。でも今は、「自分は確かに何も出来ない」「今自分にできることはこれだけだ」と認めたうえで、それでもこれから積み重ねるもので変わりたいと思っている。ふと自信をなくしたり、不安になったらこの漫画を読みに来る。最終話で名波がアキに頑張る理由を尋ねます。その返事が私はすごく好きで、頑張んないとなって思えるのです。
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  • プリンセスメゾン

    池辺葵

    私の希望です
    2025年8月13日
    この漫画を初めて知ったのは大学生のときで、当時はおしゃれな漫画だと思ってたから表紙詐欺だとちょっと思ってたのを思い出します。家を買うどころか、自分の生活費を自分で賄うことすらできない当時の私には、空気感は好きだけど真面目な漫画だなという印象が強かったです。社会人になり、転職や長く付き合った恋人との別れや些細な病気やら仲の良い友人の結婚出産やら、誰もが経験することを一通り経験した後、30を過ぎて手のひらに残っているものの不確かさ、心許なさを知った時、思い出したのはこの漫画でした。いつのまにか沼ちゃんより歳を取り、彼女が26歳年収260万円で頭金を貯めるのにどれだけ苦労し、1人を噛み締めてきたかかが、今度はわかるようになりました。そして他の登場人物のことも、不動産や生活を共通のテーマにするからこそ伝えられるものがあるのだとわかりました。どんな生き方をしていても、人と比べなくても、よろけてしまいそうな日が誰にだってあって、1人で自分の足で踏ん張って毎日を重ねなければなりません。今では私にもそれができるようになってきました。それでも心細くなったら、この漫画を読みにきます。頑張って進む沼ちゃんがきっとこの世のどこかにいるだろうと思い、私にだって頑張れるさと思うと、少しだけよっしゃ!という気持ちになります。すれ違うだけの人のすべての人生を覗き見ることはできないけれど、きっと私たちの相似形がどこかにあって、みんな頑張ってるんだって思うようにしています。東京に行くときは、夜着の飛行機で羽田に降り、東京モノレールに乗るのが好きです。天王洲アイルから浜松町あたり、窓から目と鼻の先にある高層マンションのキラキラ光る窓を見るのが何よりも楽しいです。私の人生にあんな場所に住むような出来事はこの先もないだろうけれど、あの灯りの一つ一つがどうか誰かの幸福な暮らしでありますようにといつも思います。
  • 性別X

    みやざき明日香

    同じじゃないけど近い
    2025年7月28日
    私は、恋愛対象は男性だけど、性行為はできればしたくなくて、かわいい女の子が好きです。
    ヒールも履くし、ロングヘアが好きだけど、化粧は薄いしネイルもどうでもいい。
    かわいいぬいぐるみが好きだけど、ピンクとか花柄とかは嫌いで、私服はTシャツとジーパンばっかり。
    男性に対しては女性っぽく話して、女性の友人の前では男性っぽい言葉遣いで話してしまいます。
    目の大きな正統派の美少女が好きで、でも同じくらい正統派のイケメンも好き。
    BL漫画を読むけど性描写がない作品あるいは少ない作品あるいはそれ以外がメインテーマの作品が好きで、
    少女漫画ではベタな展開も好きだし性描写も抵抗ないです。
    生理が嫌いで薬で止めてますが、胸とかくびれとか女性らしいところは好きです。
    ピアスは石とか揺れる飾りのついたのは嫌で、口紅も苦手。
    あやふやでよくわかんないなと悩んだりもしましたし、
    アセクシャルとかノンセクシャルとか色々調べたりもしましたが、
    最終的に特にそのことを他人に理解されたいとも思ってないから、
    白黒はっきりしなくても名前とかつけなくてもいいかな〜というところで落ち着きました。

    そうは思っていましたが、実際にこういうことで悩まれている方のお話を読むと嬉しいし、
    ちょっと安心しました。読んで良かった。
    女性の身体の面倒なところをものすごい解像度で描かれているのも良いです。
    こういうのもなんか安心します。
    「人としてつき合えたら」もすごく面白くて続刊楽しみです。
  • 蛍火艶夜

    amase

    戦争の本当とは
    ネタバレ
    2025年7月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 良い作品でした。
    他作の話で申し訳ないんですが、最近とある戦時下のエッセイを読みました。作家が戦前から戦後を書いた洒落たエッセイなんですが、お国のためにという悲壮感は全くなく、隠した酒を回し飲みして、たまの家族からし送りの物品をみんなで山分けし、玉音放送の放送直前に日本負けたらしいですよと上官らでげーっとし、戦争のほうびに貰ったお給金を京都で飲み明かす。明るさのある戦争体験記でしま。一方で仲間が死んだことも事実として書かれ、戦後の同窓会の様子なんかも本作と似てました。
    戦争は確かに悲惨でしたでしょうが、悲壮なだけでなく、やはりそういう男の子たちらしさもあったんだろうなと思って読んでました。その想像が本作を読んでまたリアルになりました。だからこそ、辛くなります。

    架空のお話ではありますが、どうか来世があるなら、みんなが笑って日々を辛くなく生きれますようにと願わずにいられません。
  • リビドーアンドデストロイ

    チッチー・チェーンソー

    本当に大切なものが手に入ることの意味
    ネタバレ
    2025年5月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 最高でした。何度も読み直してます。
    一個歯車が狂ってどんどん戻せなくなって、もう普通が何かもわかんなくて、それすらどんどんどうでも良くなって、ほんとにほしいものもなくて、生きてる意味もないし、でもそうだ、あの時のあの気持ちが夢だったのかもしれない(そうじゃなくても、そう思う方が楽だから)。
    そんな2人のちょっと違った、だけど狂った人生で、もう別に誰でもいいようなどれでもいいような、どうなってもいいような、余生みたいな時間。何も持ってなくて、もうどこにも戻れないからこそ、お互い一個だけで、もう充分幸せ。地獄の方があったかいよね。
    読んでる私も、なんだかもうどうなっちゃってもいい気持ちになる、ヤバイ薬みたいな漫画です。
    展開もセリフもツッコミも地獄をコミカルに書くスパイスになってます。でも胸に刺さって苦しい言葉がときどき出てきて、そんな言葉も痛気持ち良くて何度も読んじゃう私も変なのかな。
    行く先は地獄かもだけど、死での旅かもだけど、良かった、2人が2人で、1人じゃなくて。そんな気持ちになりました。
  • のだめカンタービレ 新装版

    二ノ宮知子

    ずーっとずーっと大切な作品です
    2024年3月14日
    ■のだめを初めて読んだのは10年前でした。
    そのさらに2、3年前から大ブームでしたが、なんとなくドラマ見て千秋先輩かっこいいってだけしか知りませんでした。読む手が止まらない、すごい面白い!音楽の世界ってこんなふうだったんだ、こんな…
    ■私にはのだめ達と同じくピアノでヨーロッパへ留学に行った友達がいました。裕福な家の子だったので、お金あるんだな、と心の中で羨ましかった。
    ■のだめを読んで、でもそれは間違いだったんだなと気がつきました。作品の中ではルームメイトや恋やライバルやコンサートや旅行やと楽しそうな暮らしがある一方で、主題はずれてませんでした。
    ■ああ、そうか。あの子は私たちと同じ時間を過ごしてこなかったから、あんな遠くまで行けたんだなと感じました。
    ■それから、折に触れては読み直し、さらに10年が経っていました。
    ■何もできないまま20年が経っていました。
    今思えば、私はのだめになりたかった、千秋先輩になりたかった、ターニャに、黒木くんに。努力して特別になった人になりたかった。年齢を重ねた時に、積み重ねた物のある大人になりたかった。
    ■初めて読んだ時から20年経って、昔よりもターニャが好きになってました。成功する人達を間近で見て、遅れて真剣になって、必死になって。最後はそうして自分の新しい道を見つける様子がこの巻でわかりました。
    ■そうなんです。ターニャのように積み重ねたものもなく、取り戻せる遅れではないけど、気が付いた時から道を変えて進まないと、進めないだけなんです。
    ■今回の巻では同じようにさらに歳をとった登場人物たちが見えます。落ち着くところへ落ち着き、在るべき場所へと進んでいました。
    ■後何年、何十年かかるかわからないけど、私も前に進みたい。その頃に二ノ宮先生がまた大人になったのだめ達を描いてくれていたりして、それを見て少し進めたよって思えたら私の人生は花丸です。そうやって頑張って行きたいです。
  • 60億分のふたり

    でん蔵

    全文ネタバレ、本編読んだ人向けです
    ネタバレ
    2022年12月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 以下全てネタバレです。読んで色々考えちゃった人一緒に考察しましょう。

    気になるキーワードは神様。織田の言う「俺の神様」と執着の理由がやはり作中では曖昧です。だから憶測で楽しむことにします。
    生まれつき優秀な織田は周囲を見下し退屈な世界にいました。 しかし死にかけたことで否応なしに心の声が聞こえるように。心の声はコントロールできず、初めて思い通りにならない世界に取り残されます。周囲の理解なんて必要としてこなかったこれまでと違い、特殊な状況に1人置かれて絶望的な孤独に苛まされます。

    そうして出会えた香藤は唯一のまともな存在。姿こそ同じですが、60億人が一瞬で宇宙人や怪物に変わった世界でただ1人の人間なんですから絶対離れたくないはずです。そうなると織田がヤンデレになるのも理解できます。
    ですがどうして神様なんでしょう。 織田の思考が大きく飛躍する瞬間が2話の最後にあります。思い悩む香藤を見て「心から笑わせてやりたい」と温かい思いやりを持った数ページ後に、友達が1人もいないと知って「俺だけの物なんだ」とヤンデレ笑いしています。怖いです。
    3話でついに香藤も心の声が聞けると判明し、織田の暴走は止まらなくなります。 世界中で俺にとって特別な存在という構造から、世界中で俺たちだけが特別な存在に変わります。選民思想で選ばれた2人と確信を持ち、織田は香藤を自分より特別な存在として神格化します。
    さて、気になるのは4話で突然香藤が普通にもどる点です。もちろん織田の行為が原因です。なぜ香藤だけ元に戻ったのか?普通に戻りたいと犯されながら香藤が願ったことに原因がある気がします。つまり香藤には周囲を無意識に世界をあやつる力が確かにあった…?
    心の中でトラックが突っ込めと言えば現実になるし、死ぬな織田と言えば生き返るし、織田と友達になれるし、普通に戻りたいと思えば普通に戻った。手に入らなかった死も夢の中でですが、手に入った。
    言葉として書かれていないですが、香藤が願ったことはもう一つ。夢の中で架空の同級生になじられる中、後ろから抱きしめて香藤の味方だ、香藤が大事だと言う織田。香藤は本当は、織田の死を願った反動から織田に許されること、そして織田との特別な関係を願ったのかもしれません。
    香藤が普通に戻ったいま、織田は神なのか?なんなのか?謎はつきませんが2人とも幸せならオッケーです。
  • スリーピングデッド

    朝田ねむい

    すごかった
    ネタバレ
    2022年12月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ BLの枠を超えたBL


    正直一巻で間宮のビジュアルが受け付けず、読むのやめようかと思ったんですが、BLの枠を超えたBLへの嗅覚が働いてえいやと購入。

    まさに狙い通りBLの枠を超えたBLでした。

    言葉でないです。
    穏やかなテンポで距離を詰める2人の関係と対照的な殺人行為や食人行為。他の方もレビュー書いてますが、間宮がどんどん可愛くなってく。なんて書くの上手いんだろう。一旦否定してから素直になるのが凄く良い。あとずっと佐田くん呼びなのもよい。
    一巻では佐田が心配でしたが、どんどん間宮が心配になる。佐田の台詞も本当にキャラクター出てて一つ一つが良い。

    ラストネタバレ一応注意。




    このラストはどうしようもなく好きです。
    なんて切なさだろう。
    たくさん人を殺してきても、実験してきても、大切なものは大切で、ラストの間宮のため息に、どうしようもない気持ちになりました。どうしよう、これは。
    彼のこと頭から離れなかったんだね、と思うと本当に泣けてきてしまう。
    全然言葉にできないな、感想。

    レビューでたくさんおすすめしてくれたひとありがとうございます。読んで良かったです。
  • ワンルームエンジェル

    はらだ

    良かった…読んで良かった…
    ネタバレ
    2022年5月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 良かったな…読んで良かったな…
    青年誌で出せばこの漫画がすごいとか余裕で取れますよねこれ…なにかもう賞とか取ってるの?
    いや、賞とか取ることが良いわけじゃなくてなんかもう本当に読んで良かったとしか言えない。だから他の人にも読んでほしい。特に8の出会い。最後あそこで泣いてしまった。そうだよね、会いたかったよね、会えてよかったって!

    漫画はやっぱり素晴らしいな、また良い作品に会えて本当に良かった!
    個人的天使のキャラとビジュアルと羽のふわふわ感が好き。あと主人公が笑う時やっぱり泣いちゃった。あとあり沙もいい。弟も米がいい。そうだよね、人生ゴミみたいで生きる意味ないなって思っても、でも悪くないなって思えたらいいよね。私もちょっと頑張りたい!良い作品読めて本当に良かったです!
  • スリーピング・バグ

    京山あつき

    立ち読みではまって初BL本購入
    ネタバレ
    2022年2月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ※全体的なネタバレ感想です。
    いわゆるBL本に興味を持ったことがなかった。性描写の強い漫画が苦手なので手を出したことがなかった。

    コロナ自粛でシーモアで無料漫画を読み漁り、ほとんど読んでしまったのでBLを最近読み出した。昔よりは抵抗なく読めるけれど、すぐに(あるいは冒頭から)性行為が始まるのに違和感があった。きっとそうじゃない本もいっぱいあるんだろうとは思うけど。

    たまたま作者の本に行き当たった。
    一話読んで、引き込まれた。恋愛すら始まっていない!
    新卒のうるのとベテランの本郷さん。距離が近いわけではないけれど、うるのはなんだか気にしてしまう。だけどそれは、尊敬であり、憧れであり…。普通の会社の上下関係とも違う技術者ならではの関係性も面白い。

    ひょんなことから本郷さんが転がり込んでくる。うるのは、「俺の持ってるものならぜーんぶ出すわ」と大金さえ貸すことにも躊躇いがない。気になるだけの人にそこまで思えるかな、と思うが、そこまで思うくらい本郷さんがうるのの心を占めていた。まだ若いのに500万も貯めてしまうくらいうるのには欲がなくて、無欲な彼がぜんぶ差し出してもいいと思うくらいやっぱり本郷さんの存在が大きいのだ。

    でもこの感情は何?と悩むうるの。すごく自然で素敵だ。そばにいてほしいけれど、身体ってそんなに大事かな?当たり前の疑問なのに、待ったをかけられた本郷さんを見ていると本郷さんの方が自然に思える。

    だけど彼らは技術者。彼らなりの論理と推量を持ってやがて答えに辿り着く。先に心が惹かれたけれど、心が繋がるにはちゃんと必要な工程がある。

    そこまで来てようやく、もっとくっつきたいという気持ちが形になる。BL慣れしていない私ですら、やっと!という気持ちになった。やっとだからこそ2人の前進を祝福したくなった。
    愛すべきサブキャラ、ねこみみ先輩がそんな2人とは対照的にいきなり、そしてすぐに結婚してしまうのも良い。2人なりの歩みが強調されるように感じた。

    最終話でようやく身体も繋げたけれど、それでもまだまだゴールじゃない。技術者にとって言語の学習に終わりがないように、人の関係もやっぱり終わりがない。
    こんな感じで2人はこれからも2人なりの関係を築いて行ってほしいなと、読後心がとても穏やかになれた。

    この後作者買いしたが、どの作品もとても良かった!