【特装版】依存の楔【電子限定おまけ付き】
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【特装版】依存の楔【電子限定おまけ付き】

akabeko

それは愛か執着か…

ネタバレ
2021年12月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『少年の境界』で号泣し、『四人のにびいろ』でガチ泣きし、『タケトコタトアオト』で感涙。他にも心を揺さぶる作品が沢山ありますが、今回は心の闇と病みに震え上がりそうに怖くて、読みごたえたっぷりです。もうそのakabeko先生の引き込み方の上手さにあっぱれです。ページをめくる度に、どんどん不安と不審が募り、闇の中に引きずり込まれ、深い深い沼に足を取られて、抜け出せなくなりそうです。一瞬の内に、そのミステリアスな世界観にどっぷりはまって行くのです。

記憶を失うとしを甲斐甲斐しく、健気に面倒をみるまち。謎に包まれた二人の関係。タイトルにある依存はどちらにあるのか…なぜ記憶を失っているのか?から始まる疑問。物語が進むにつれ、疑問が疑心暗鬼となり、推測しながらある疑惑が生まれました。
本当にミステリアスな展開に目が離せないし、ワケのわからない不安と胸騒ぎが膨らんで、ドキドキさせられます。その先を知りたいのに怖くなる。
籠の中の鳥のように、狭い世界に押し込められても、逃げる事すら考えない怖さ。『記憶』がキーポイントとなります。
これは、愛なのか執着なのか。愛であり、執着なのである。深くて、怖くて、さすがのakabeko先生です!


先生の後書きによりますと…

『暗闇の底の沼こそが、としの孤独からの脱出口であり、執着や愛憎の無い一人で完結していた世界の終了』とあります。
なるほど、記憶を失くす事による孤独からは救われるのかもしれないけど、広い世界を知らずに籠の中の鳥のように生きる事が、果たして幸せなのか…
いつか息苦しさが爆発しない事を祈るばかりです。
でも、忘却に助けられるなら、二人きりの世界も彼らの幸せなんでしょうかねぇ…
いつか、二人で外の世界で自由を楽しめるといいですね。
全ての自分の中の疑惑が回収された時、心の中で拍手しました。お見事でした。面白かったです!

目指せ、akabeko作品完全制覇!の途中です。
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