猫mix幻奇譚とらじ
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猫mix幻奇譚とらじ

田村由美

愛なのです。

ネタバレ
2021年12月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『ミステリと言う勿れ』のドラマ化で、他の数作品が太っ腹な無料版。『とらじ』は3巻まで無料(23日まで)の機会に、沢山の方に知ってもらいたいファンの願いです。
2008年から続く連載で、13巻まで読了。連載当初の絵柄は、随分と洗練されていってます。30年以上の作家活動をされていらっしゃる田村先生は、どんどんと絵柄も物語も驚くほどにまだまだ進化中です。尽きない探究心と創造力。どこからそんなに次々とアイデアが浮かぶのか。そして、物語の奥深さと繊細な表現力に緻密な構成力、もうファンタジーの神ですね。

世にはびこる『ネズミ』が人を喰らい、村を食い潰す世界。王に仕える7勇者の一人、パイ・ヤンと、魔法のネズミによって半人型に変えられてしまった猫MIXとらじの冒険が超絶面白い。猫好きな方にはたまらないとらじの魅力。猫派でない方にも十分楽しめると思います。とにかく可愛い~。
ネズミに拐われてしまったパイ・ヤンの息子リオを探し求める旅路の中、個性豊かなバラエティに富むキャラ達が登場し、物語に彩りを添えてくれます。
とらじにとって、最初は苦手だったパイ・ヤンですが、どんどん大好きになって行く変化がね、とっても素敵。大好きで、ずっと一緒にいたくて、パイ・ヤンの為に、あらゆる事に奮闘するとらじが健気でいじらしいんです。愛される息子リオに対するチクチクとした嫉妬と寂しさが切なくてホロリ。ずっと側にいたいのに、リオが戻って来たら自分の居場所を探そうと思うとらじに涙です。パイ・ヤンはとらじの事を大切に思っているよって、抱きしめてあげたくなるのです。
ずっとネズミと戦ってきたパイ・ヤンは王の側を離れる事を許されず、生まれてきたリオの子育てにほとんど携われなかった事情があります。子供に愛情を向ける術を知らない不器用なお父さんだから、子猫のとらじへの接し方も不器用。ついつい怒鳴ってしまうのは、とらじの事が心配で仕方ないんだよ。とらじの思いに、ギュッと抱きしめてあげるだけでいいんだよ。と、言ってあげたい。(意外に面倒見のいい子煩悩なんだけどね。)
リオが戻って来たならば、リオと母親ジョゼを抱きしめて、同じようにとらじも抱きしめて愛してあげて欲しいと願います。とらじの大切なお友達・銀ちゃんも家族になれるといいですね。
まだまだ予測のつかない展開に、ドキドキとワクワクです!
完結したら、また書き直したいと思います。
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