薫りの継承【上下巻セット・単行本未収録イラスト付】
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薫りの継承【上下巻セット・単行本未収録イラスト付】

中村明日美子

狂気の愛が実に儚く美しい

ネタバレ
2021年12月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 弟は再婚相手の連れ子。義理の兄弟、不器用ながらも兄を深く慕う弟に、不器用で泣き虫な弟に冷たく当たる器用に生きている兄だった2人の関係が、まさかまさかの展開で深い深い狂気の愛へと堕落していく。
登場人物皆が苦しくなるような複雑に絡み合う人間関係に魅入ってしまう。
実は本当の血の繋がりがある兄弟だったと知った時にはもう手遅れであり、2人の気持ちは止まらない。周りの全てを巻き込み堕落していく。
義理姉がずっと終始表情を見せないように描かれているのだが、最後の最後に見せたその表情に作者の天性の才を感じる。
繰り返し読めば読むほど、すれ違う2人に苦しくなるけれど絵がひたすら美しい。
ラストは何とも言えない哀しみと虚無感が残るものの、互いにハッピーエンドと言えるのではないだろうか。この作品に出逢えて良かったと想える秀逸な作品。
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